〝お掃除ロボット〟のことを知ってみよう ――業務用でも、家庭用でも身近になった清掃用ロボットの歴史と進化

TERASコラム

〝お掃除ロボット〟のことを知ってみよう ――業務用でも、家庭用でも身近になった清掃用ロボットの歴史と進化

  • 2024.03.01

『お掃除ロボット』と聞いて思い浮かべるものは、どんなカタチをしているでしょうか。
ここ数年で、日本の一般家庭にも広まりつつある小型タイプ?
ショッピングセンターや交通機関、公共施設などで活躍している、大型タイプ?
そのどちらの清掃用ロボットも、ここ数年で大きく進化しています。

清掃用ロボットとは?

清掃用ロボットは、大きく2つに分かれています。

  • 一般家庭の床面清掃を行う【家庭用】
  • ビルや工場内などの清掃を行う【業務用】

業務用では、床面のほかに窓ふき・水中・屋外清掃などを行う機種もあります。
清掃用ロボットは、家庭用・業務用でも共通した3つの特徴を持ちます。

【自律移動】

決められた場所やルートを、自ら移動して清掃を行います。
障害物や段差などを避ける機能も備わっています。

【自動充電】

清掃用ロボットは、内部充電で稼働しています。
清掃完了時や電力低下時にも、きちんと充電できる場所まで戻ることができます。

【移動ルートの学習】

清掃を行う場所のレイアウト変更、ロボットに立ち入ってほしくない場所の追加や変更などがあった場合、すぐに対応します。

このような特徴を持つ清掃ロボットは、どのような歴史を持っているのでしょうか。

【家庭用清掃ロボット】の歴史

円形や四角・三角形の姿を持つ家庭用お掃除ロボット。
実はそのルーツは、軍事や産業開発で培った技術から始まっています。
戦場に残された地雷撤去や、宇宙開発を見据えた探査用ロボットのために開発された
「センサーで周りのものを判別する」
「障害物のある地面(床)を移動する」
というシステムが、清掃ロボットに求められる技術だったのです。

世界で初めて家庭用のロボット掃除機が販売されたのは、2001年。
スウェーデンにある家電メーカー・エレクトロラックス社から発売された「Trilobite(トリロバイト)」です。
その後、マサチューセッツ工科大学のロボット学者たちが創設したアイロボット社から、2002年に「ルンバ」が発売されました。
一方、日本では住宅が狭いため需要が見込めないという理由から、大手企業による家庭用ロボット掃除機の開発は見送られていました。

【業務用清掃ロボット】の歴史

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家庭用清掃ロボットとはうってかわり、日本における業務用清掃ロボット開発は、1970年代から行われていました。
当時から、日本は細かな動きや自動制御ができるロボット開発の技術に長けていました。
業務用清掃ロボットの歴史のなかで、最初に生まれたのは窓ふきを目的としたものです。
1970年頃から、東京では地上100メートル以上の高層ビル建築が始まりました。
窓ふきはビルメンテナンスの上で欠かせない清掃業務ですが、高層ビルでは非常に危険が伴う作業です。
1974年(昭和47年)、新宿にある54階建の高層ビルで「自動窓ふきシステム」が取り入れられました。
このシステムは、2本のワイヤーで吊るされた清掃ユニットが、ビルの外周に沿って移動しながら自動で窓ふきを行います。
床面掃除での清掃ロボット開発も進められ、1986年(昭和61年)に、洗浄式床面清掃ロボットが発売されました。
1990年代に入り、大手電機メーカーによる業務用清掃ロボットの開発がすすみ、1993年(平成5年)には東京国際空港で運用が始まります。
また、この頃からオフィスビルや総合施設ビルを建設・管理するデベロッパー等との共同開発が始まりました。
2001年には、エレベーターと連動した清掃ロボットシステムが実用化しました。
清掃ロボットは、夜間に自らエレベーターを操作してビルの各階へ移動し、床面清掃を行います。
完全に自律した清掃システムは、世界初のオフィス清掃ロボットとして話題を呼びました。

業務用清掃ロボットの進化とこれから

業務用清掃ロボットで需要が高いのは、やはりビルメンテナンス業務のなかでも大きい「床面清掃」を担うもの。
かつては人と同じほどの大きさのロボットが多かった業務用清掃ロボットですが、現在は小型化も進んでいます。
さらにAI機能の進化によって、業務用で重要な『移動ルートの学習』が、より早く正確に行えるようになりつつあります。
現状、清掃ロボットが苦手としていることは
「大きなゴミの回収」
「汚れの種類によって清掃方法を変える」
といった、人が自分の目で判断して行っている清掃です。
往復作業が必要な、広い床面の清掃はロボットにまかせて、重点的な清掃が必要な場所のみを人が行う――ロボットと人が力を合わせて働く現場も増えつつあります。
現在、ビルメンテナンスや清掃業は、慢性的な人手不足です。
少子高齢化がすすむなか、人出不足はさらに深刻化すると予測されています。
そんな問題を解決する大きな力として、業務用清掃ロボットは、社会のなかでもっと普及していくのかもしれません。

家庭用に求められるもの

家庭用清掃ロボットの代表格とも言える、アイロボット社の「ルンバ」。
実は、米国市場以外で初めて進出・販売された国は日本でした。
しかしその普及率は日本での販売開始から20年たった現在でも8%強と、まだまだ高いとは言えない数字です。
それは日本固有の住宅事情が影響しているのかもしれません。

海外と比べて、日本の住宅で特徴的な部分をピックアップしてみると――

  • 一般的に海外よりも狭い住宅が多い
  • フローリング、カーペット、畳など床面の素材がさまざま
  • ふすまなど、部屋と部屋の間に段差が多い
  • 動作音による騒音が気になる
  • 土足以外で歩く箇所が多いので、拭き掃除が必要になる
  • ホコリがたまりやすい

といった問題があります。
従来の掃除機にも求められてきた多くの機能が、清掃ロボットにも必要とされています。
その需要に応えるように、近年はゴミを集めるだけでなく、自動で水拭きをする機能を持つロボットが開発されました。
また、本体自体の厚みをできるだけ薄くすることで、家具や家電の下部の隙間掃除を行えるものも増えてきています。

AIとスマートホーム化が、家庭用清掃ロボットをより便利に

家庭用清掃ロボットが普及するために、強い後押しとなり始めたのが「AI」と「スマートホーム化」です。
ロボット掃除機は、本体に付いたセンサーで清掃範囲のマッピング・段差、障害物の回避を行ってきました。
その機能がさらに向上し、スマートフォンアプリなどでその日に清掃してほしい場所を指定することもできます。
カメラやセンサーで記録した床にある障害物を、AIによって判断する機種も開発されています。
例えば、ペットの排泄物など〝ロボット掃除機に避けてほしいもの〟をAIが覚えると、次からはどの場所にあっても対象物を避けるようになります。
また、本体にたまったゴミの量を感知して、自動でゴミ回収ドックへ捨てる機能がついたものも発売されています。

テレビやエアコン、照明といった家電がアプリで一括操作できる「スマートホーム化」。
家庭用清掃ロボットを、より便利に活かせる環境が日々進んでいます。

清掃業に携わる人の労力や、日々の生活のなかのちょっとした家事負担を少しでも軽くする。
今後の清掃ロボットが担うものは、そんな人々と寄り添う力なのかもしれません。

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